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魚のヒミツ−魚の五感−視覚

魚の五感 見えるの?聞えるの?感じるの?

魚は水中でどのような感覚で様々なモノを捉えているのでしょうか?ヒトや他の動物のような五感を備えているのでしょうか?そして、その能力はどの程度のものなのでしょうか?それでは、魚の五感について調べていきましょう。

視覚

水中で見る魚の目は様々な色彩を放ち大変美しいものです。あの美しい目は何を見つめているのでしょうか?

魚の目(魚眼)の構造

魚の目(魚眼)の構造は、基本的には哺乳類などと共通しています。その構成は、外界に接する外側から、角膜−強膜,虹彩−脈絡膜,網膜の3層から成り、更にその内側に硝子体と水晶体があります。下の写真(左)に見るように、ドーム状に外側に突出する、半球状のいわゆる魚眼をしています。

また、ほとんどの魚には瞼(まぶた)がありません。ただし、一部のサメ類では目の下縁に瞬膜という可動性の膜があります。サメは獲物を襲う時など、目を保護するためにこの瞬膜(しゅんまく)で目を覆います。また、一部の硬骨魚類では、脂瞼(しけん)と呼ばれる透明な膜で覆われているもの(ボラ、ニシン、ウルメイワシ)なども存在します。

ホウセキキントキの目 ツバメコノシロの脂瞼

(写真左:ホウセキキントキの目 / 写真右:ツバメコノシロの脂瞼)

魚の視野

ほとんどの魚の目は体の横に位置しており、正面に付いている魚は少ない。また、普通レンズが半ば瞳孔から突出するため、単眼の視野が広くなっています。(カメラで使用される魚眼レンズは、正にこの構造である)そのため、距離感が不正確ではありますが、真後ろを除きほぼ全体を見渡すことが出来ます(320度程度と言われている)。左右重なる両眼視野は前方約30度であり、両眼視野の視軸上で遠近調整が行われます。この視野を使って主に摂餌行動を行います。

魚の色覚

色に対する感覚もヒトのそれと非常に似ているようです。また、一部の魚ではヒトの能力を遥かにしのぐ識別力がある精巧な目を持った魚も存在するようです。更に、明暗を認める能力もあり、光環境に応じた様々な生態を示します。深海魚などは桿体細胞が発達しており、僅かな光でも見えるようです。また、夜間ライトを照らす光に誘われて寄ってくる魚もいます。これで、特に注意が必要なのはダツの仲間です。夜間の海でライトを水面近くで水平に当てるともの凄い勢いで光に向かって飛んできます(水面をジャンプしてくる)。ダツの口先は錐のように鋭く、人間の体など簡単に貫きます。

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[トリセツ・カラダ]
「チーム・バチスタの栄光」の作者、海堂尊氏が現役医師の立場から執筆した体の取扱説明書。とてもわかり易く、楽しく解説され、読み終わった時には「カラダの地図」がサッと書けるはず。