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魚のヒミツ−鰓(エラ)

鰓(エラ) 水中生活で欠かすことの出来ない呼吸器官

たぶん誰もが一度は魚の鰓を見た事があると思います。魚の頭の後ろに在る、パカパカと開いたり閉じたりしている器官です。この鰓は魚類の最も重要な呼吸器官のひとつです。

鰓の役割

呼吸器官としての役割

鰓は魚の頭の後ろ(咽頭)の内側に硬骨魚類の場合は5対の裂目があり、その裂目の内側を褶状突起が覆う構造になっています。その内側を極めて細い血管が網目状に広がっています。水中でこれを広げ、そこに出来るだけ多くの水を通過させる事で、体内の二酸化炭素を放出して、水中から酸素を取り込むというガス交換を行っています。従って、鰓には絶えず新鮮な水を送り込む必要があります。鰓の構造は主に、鰓蓋(えらぶた、さいがい)、鰓弁(さいべん)、鰓弓(さいきゅう)、鰓歯(さいし)、鰓耙(さいは)から成り立っています。

プランクトンネットとしての役割

鰓歯(さいし)というエラの内側にはクシの目のような突起があり、プランクトンなど小さなエサをこし取って食べます。

アジの鰓蓋を外した所 取り出した鰓

(写真左:アジの鰓蓋を外した所 / 写真右:取り出した鰓)

水面でパクパク

淀んだ川や湾内、あるいは自宅の水槽や金魚鉢で、魚が水面で口をパクパクさせている姿を見かけた事があると思います。これは水中の酸素が足りなくなったときに、水面を波立たせ、水に酸素を溶け込ませ、必死に呼吸をしている状態です。自宅で魚を飼育されている方は、こんな時は水を入れ替える、ポンプで空気を送るなどして助けてあげて下さい。

鰓を食べる

普通、魚を料理する際は鰓を外して調理するのがほとんどです。でもそんな鰓を食べる料理があります。最近は韓国料理もメジャーになって、「チャンジャ」という韓国風の塩辛を食べた事がある人も少なくないと思います。これは、タラの内臓からエラまで使って塩漬けにしてコチジャンやごま油などで味付けしたものです。また、大分県の郷土料理にも「タラオサ」あるいは「オサダラ」と呼ばれる、タラの内臓からエラを一度乾燥させ、それを水で戻して煮込んだ料理があります。他にも探せばまだまだ色々な料理があるかもしれません。

[トリセツ・カラダ]
「チーム・バチスタの栄光」の作者、海堂尊氏が現役医師の立場から執筆した体の取扱説明書。とてもわかり易く、楽しく解説され、読み終わった時には「カラダの地図」がサッと書けるはず。